11.11.2011

11月もはじまり・・・

11月になり学校も公式的に始まりました。
モデナでの生活にもレッスンにも慣れたところですが、
私はこの1週間イタリア北部に位置するピエモンテ州トリノという街で
マスタークラスを受けてきました。

マエストラはメゾソプラノ歌手であるルチアーナ・ディンティーノ氏。

彼女はミラノスカラ座日本公演で何度も日本に来たこともあり、私が学部生だった頃、
彼女のドンカルロのエボリ役を聴き感動し、それに触発されて私の学部の卒業演奏はエボリのO don fataleを歌ったという経緯がありました。

そして、今年の7月にたまたま立ち寄ったミラノのRICORDI MEDIA STOREで見かけた張り紙に彼女がマスタークラスを開いていることを知ったときには本当に感動し、ミラノのcasa di verdiでの彼女の歌カヴァレリア・ルスティカーナのVoi lo sapeteを聴いたときには、運命の出会いを感じ、私の憧れの歌手から是非私の先生になってください!と懇願し、8月の終わりのポルデノネでの講習と今回のトリノでの講習にこぎつけたのでした。

彼女は今でも歌手として世界各地で歌っているために来年は講習が出来ないとか・・。私にとって、この時期に講習を受けられたことは幸運であり、これからの1年の課題を見つけられた大きなチャンスともなりました。

講習は五日間。8人いる講習生で朝10時から休憩挟んで18時までの時間を歌って聴いての講習。

彼女のすごいところは、すべてにおいて納得させられる音楽性と声を持っているところ。
イタリア人であるので言葉はダイレクトであるし、表現、表情、すべてにおいて完璧!

メゾソプラノのレパートリー以外でもバリトンやテノール、ソプラノと何でも歌い教え、正しい方向へと導いてくれるのです。さすが共演した歌手は私でも知っている有名人ばかり。

そして、私にとって重要な課題である「頭を使って歌う」ということを理論的に教えてくれる素晴らしい先生。出来ることならば彼女の頭脳が欲しい・・。いや、あの低音も出来ることならばください・・。何でもください・・。それくらい彼女は、その他の歌手にはない(彼女でないと出来ない)ものをたくさん持ち合わせている歌手です。

少し暗めの響きを持った彼女のメゾソプラノの声は私が表現したいことのすべてをダイレクトに導いて下さり、一日一日があっという間に過ぎました。

歌からは想像出来ませんが、彼女は親しみの持てるおっかさんみたいな人です。でも舞台上では本当にかっこいいアムネリスにアズチェーナにエボリ・・。ファボリータのレオノーラやロメオ、アダルジーザ。そしてフランスもののカルメン、デリラやシャルロッテ・・・。彼女から学べるものはすべてやろう!と思ったのでこれでもか!というくらい、いろいろ書き込み、そしていつか使うであろう引き出しにいっぱい詰め込んでみました。

また彼女の前で歌うときまで忘れないよう日々訓練していきたいと思います。